プルメリアのカルスについて①

5年前くらいに(惜しまれつつ閉館した内房フラワーさんで)買った黄色いランが今年も咲いています!ずっとコンパクトだし、毎年咲いてくれるし、とっても愛着のある一鉢です。


今日はカルスのお話し。
「カルス」とは聞き慣れない言葉かも知れませんが、今後「根」になる部分が形成されている部分を指します。

プルメリア・ブックでもお店で購入する際に、より良い苗木を選ぶ事によって成功率も上がるので、カルスについて書きましたが、実際にこの本で紹介している「悪い苗木」という写真はそれほど悪くはありません。。。両方とも無事根付く確率の方が高い苗です。ちょっとオーバーぎみに表現したのと、撮影の時にあきらかに悪い苗が見当たらなかったというのも理由にあります。この写真によってちょっと困惑してしまった方がいたら申し訳ございません。

こんなにキレイなのはめったにないくらいキレイなカルス♡

これも腐っている訳ではないので根付くでしょう。

特に変った園芸品種になるとカルスもすぐに出来にくかったり、昨日の記事のように濃い色の花もカルスが出来にくいものの一つです。一概に上記の写真と一緒にはならないので、臨機応変さも必要です。

例をいくつかあげて説明してみます。


例1)これはカルスが完全に形成されている状態。比較的分かりやすく、とても良い状態と言えると思います。



例2)これはどうでしょう。断面が少しカビっぽく黒くなっていますが、しっかり乾いているのでこれも問題ありません。枝が堅くしっかりとしていれば、表面の汚れはあまり気にしなくて大丈夫です。左下に根が出始めているのが見えます。


例3)これはどうでしょう?枝が陥没しているように見えるから、切り戻しますか?ちょっと難しい判断かも知れません。


でも、良く見てみてください。右下に亀裂が入っています。ここから根が出てくると思います。一カ所でもこういう兆候があって、枝が堅くしっかりとしていれば大丈夫でしょう。

例4)これはどうでしょう?切り戻してしまう人が多いかも知れませんね。あきらかに陥没しているので。このような苗はいくら切っても陥没してしまう場合が多いのです。苗木自体に水分が少なくなっているので...。『切り口が腐っていない限りは』←ここ重要! 切り戻さない方が懸命です。

なぜしぼんでしまうのかというと、苗木を元木から切るタイミングとその状態も大きく関係します。休眠中の枝を切ると枝中に水分が少ないので切り口がしぼみやすかったり、もともと元木が水分不足の時や調子が良くなかったりする場合などもこのようになりやすいのですが、菌が侵入して腐っていなければ、大丈夫です。枝を良く観察してみてください。

切り口はくぼんでいますが、そのすぐ上部は膨らんできています。プルメリアの根は下からも横からも出てきまので安心してください!


問題は....腐ってきてしまった苗を白い樹液が出てくる部分まで切り戻した場合に、カルスが出来にくくなる点です。苗木も弱ってくるし、切り戻すとどんどん短くなるし。。。
これらはまだ、接ぎ木の他には「これ!」といった良い方法が見つからずにいるので、プルメリア・ユニバーシティの研究課題でもあります。

今後の報告は、会報誌で色々な実験を紹介していきたいと思います。
PU PRESS13号:色んな場所から根がでているのが実験からわかります。